まだ届かない人、絶対に届きたくない人。
社会に出て、色んな人と出会った。
それは今私の視界を広げている。良い意味でも、悪い意味でも。
色んな人がいる。それは、気配り上手な人。
私にはちょっとやそっとでは真似できないような、技術を持った人。空気や人の動きを敏感に察知して、すっと席を立ち相手が待ち望むモノを差し出し、振る舞いを行う。相手は喜び、感謝し、それを彼女は何でもないように受け取り、席に座る。私が気づいた時には、彼女は立ち上がり2、3歩足を踏み出している。ただただ、私は出遅れたことを謝ることしか出来ずにいる。まだ届かない。
こんな人もいる。自己アピールが上手い人。
就職活動だけでとりあえず良いのだと思っていた、自己アピール。しかし、本番は社会人になってからだった。「今、自分はこんなことをやっている、こういう結果をあげた」こうしたことを、平然と社内で発表する人がいる。それも堂々と、胸を張って。そのモチベーションはどこから来るのかと以前、聞いたことがある。その時、「家族がいるからね」と言っていたけど、守べきものがあると人は強くなる、とどこかで聞いたけど。私はそんな彼を見上げることしか出来ない。まだ届かない。
でも、一方で驚くような人もいる。
それは、言葉に遠慮のない人。それは面と向かってでも、メールの文章でも変わらない、無遠慮な人。
自分の中で最も口にしないであろう表現で攻め立ててくる。言い方の間違いで済まされない表現で。
それがメールという考える時間が与えられているメディアを使用しているときも同じであったときは驚いた。いくら顔文字を多用したところで、言葉の鋭利さは変わらないのに。その直後に、いくらフォローを入れたところで尖ったナイフは刺さったままなのに。
そしてその人が、冒頭で出した気配り上手な人と同一人物なのだから、恐ろしい。
人はいいところもあるし、わるいところもある。
それは分かってはいたけれど、こうも表裏一体だとどうしたものかと悩まされる。それでも、先輩だから、上司だからと自分の胸に言い聞かせるしかない。学生時代は、自分の好きな人と一緒にいればよかったけど、社会人はそうも言っていられないから。なに当たり前なことを言ってるんだ、と思う人もいるかもしれないが。現実として目の当たりにすると、狼狽えるんだ。
まだ届かない人、絶対に届きたくない人。
そこから何を盗んで何を捨てるかが、自分にとって大切なんだ。